母は岩崎ちひろが大好きで、ポストカードなどいただくと、とても喜んでいました。
岩崎ちひろの絵は、淡い色彩なのに子供の無邪気さ、それを見守る母の温かさが伝わってきます。心がほっこりしますよね。
家を建てたとき、母が玄関に小さな額縁を掛け、そこに岩崎ちひろのポストカードを入れました。母が女手一つで作った小さい家です。でも玄関は南に面していて、明るく気持ちのいい場所です。そこに岩崎ちひろの控えめながら穏やかな親子の絵は、ピッタリでした。
それから兄も結婚していなくなり、私も独立し、とうとう母一人の家になってしまいました。
数年前、母が腰を痛めて入院して、それをきっかけに、私が週の半分ほど、泊まり込むようになりました。
ある日、ちひろさんの絵が、消えかかっていることに気がつきました。それまでバタバタして、それどころじゃなかった自分がいたのです。
そこで、繁華街の画材店に行ってみました。そこでちひろさんの絵ハガキを見たことがあったので。ところが、行ってみるとありません。絵葉書コーナー自体がないのです。
お店のかたが申し訳なさそうに言いました。「今どき、絵葉書なんて売れなくて」と。そうでしょうね。挨拶状なら、いろいろおしゃれなものがあるし。
ちなみに絵の色が消えたのは、紫外線の仕業ですって。だから、大切な絵は紫外線防止のガラスにしなさい、とのことです。
いまは、ボタニカルアートの絵本から切り抜いたバラが、入ってます。応急処置です。いつか、ちひろさんの絵に出会う日まで。理想のモデル体重になるには。